2013年4月21日日曜日

寮生活

ゴビスンベル県には、5つの小学校がある。
 
1,2,5番学校はチョイルに、あとの二つはそれぞれ少し離れた村にある。
今週からそのうちの一つ、シュエーゴビで活動し始めた。
 

村の中心部に背を向けると、ただただ大地が広がっている。夏は一面の草原。
私の住んでいる町からは離れているので、私は学校に併設されたドミトリー(寮)で子どもたちと一緒に住むことになった。
保健室に無理やりベットを入れてくれた。あとはそのまま。トイレは共同、お風呂や洗濯機は当然無い。
 
ここには3番学校に通う生徒、1年生から高校生まで、15人程度が相部屋で暮らしている。彼らはさらに遠く離れた田舎に家がある子供たち。遊牧民の子どもも少なくない。
彼らが家族に会うのは夏休みやツァガーンサル(旧正月)などの大きな休みの時だけだ。
私もこれから一か月、この子たちと寝食を共にしながら活動をすることになる。
 
食堂。カウンターから自分でごはんを取る。
今日の夜、初めて子どもたちと一緒に食事をした。
みんな私に興味津々。
じーっと見つめたり、こそこそ何かを話してみたり。
「どうしたの?」と笑顔で見つめ返すと、照れてはにかむ。
「小学生は何人いるの?」と聞くと、「ほら、小学生は手を挙げて!」と男の子が仕切ってくれる。
コップを洗いに食堂に行くと、子どもたちが洗物をしていた。
「先生、この二人はね、ラブラブなんだよ!」「違うよ~!先生、冗談言ってるだけだよ!」といいつつも楽しそう。
それぞれ自分の仕事がある。食器洗い、食事の準備、ごみ捨て、掃除。
ハリョーナはいつも働き者で、いつも穏やか。みんなのお姉さんだ。
 
ドアをノックして(時々ノックもしないで)子どもたちが訪ねてくる。
「何してるの?」「日本語教えて!」「遊ぼう!」「ごはんだよ!」
 
今日は1年生の子からのお願いで、夕食後に日本語を教えることに。
着替えてから部屋に向かう。
寮では、授業はしたくないなと思っているので「何を知りたいの?」と聞くと
「名前をどう書くか知りたい!」とのこと。
 
あれよあれよという間に全員集合!
「弟の名前も!」「お母さんの名前も!」「お父さんの名前も!」名前屋台は大人気で大忙し。
私も私で調子に乗って空手なんか教えてしまったもんだから、即興空手大会が開催されてしまったことには参った。
「危ないから勝手にやっちゃダメだって言ったでしょ~!」とヘッドロックしても楽しそう。
ここにいる子供たちは、静かで、騒がしくて、可愛くて、人見知りで、人懐っこい。

「なぐる、ってなんていうの?」と聞いた3年生の女の子を叱り、私に「先生、悪い言葉は教えなくていいよ」と言ったのは17歳のオルゲルボルト。ここのドミトリーリーダーだ。
彼はとても勉強熱心だ。
1~10、20までの数の数え方を知ると、99までの数え方を理解してしまった。
挨拶も一通り覚えた。
 
夜に中学生がこっそり部屋に来た。「私はあなたが好きです」を知りたかったらしい。
 
今も、廊下から日本語を練習する声が聞こえる。
騒ぎ声が聞こえる。
顔を洗いにいくと、「私も~!」といって一緒にトイレについてくる子がいる。
すっぴんのまま遊ぶ。
はしゃぎすぎて寮母さんに叱られる。
こうやって家族みたいになっていくもんなんだろうな、と思った。
 
夜の10時近く、一人の女の子が部屋にきた。たわいない話をしながらも、とつとつと自分の事を話してくれる。普段は負けん気の強い、つん、とした今どきの女の子だが、まだまだ15歳。複雑な思いもあるのだろう。
 
疲れていないと言ったらウソになるが、このワクワクは私の本当の気持ち。
きっとすてきな一カ月になる。

シュエーゴビ村の夕焼け



 

0 件のコメント:

コメントを投稿