2012年11月11日日曜日

伸び盛り、ゴビスンベル県。

Сайн байна уу?(こんにちは!)

最近、私は授業をやっていませんでした。
え、先生、ずっと遊んでたの?!と言われてしまいそうですね。
実はこの3週間は、私は授業を「する」のではなく、「見る」 活動をしていました。
 どんな授業を見ていたかというと

①他の学年の先生が授業をする
②他の学校の先生がくじをひく。例えば引いたくじが「1年生の算数の10までの足し算」だったら、1時間で準備をして授業をする。
③ゴビスンベル県全部の3年生の先生が集まって授業を考えて、全員授業をする

主にこの三つの授業の見学をし、意見を言っていました。②は、モンゴル全体でそのような先生の試合があるそうで、県の代表を決めるためのものでした。

 この三つを見ても分かるように、モンゴルは今、先生の授業の「技術」をあげようと、いろいろな事をしているのです。

前に、モンゴルにも「ジュギョウケンキュウ」(授業研究)があるというお話をしましたが、私は特に③の、3年生の先生たちの授業研究で感動!今日はこのことについてお話しします。



これが、モンゴルの教科書

 木曜日に、何十キロも離れた村からも先生が集合。10人の先生とそれぞれの学校の副校長先生、県の教育を担当している先生、そして私であつまりました。

 この授業研究のテーマは、「授業で子どもたちが創造する思考力と能力を、どのように発展させるか」。子どもたちの力を伸ばすことを中心に考えているこのテーマ、素晴らしい!!がぜん、やる気がわいてきます。

 今回みんなで考えるのは、「算数」。数に「何十」の数をかける計算で、一番早く、かんたんに出来る方法を考える勉強です。


日本の教科書とちがって、文章の問題はほとんどのっていません。私もそこで初めて教科書を見たので、辞書を引き引き、理解。

 同じページに、全然ちがう計算問題も書いてあります。これでは、教科書通りにやっていては学習がつながって行きません。
 さて、この学習を「子どもたちの思考力と能力を伸ばすため」には、どうやって教えて行けばいいか。

そこになんと、日本の教科書を持って見ている先生がいるではないですか!「ねえ、これってどういうこと?」と聞いてくれたので、それをもとに、日本での学習の流れを説明。

「アヤカはどうやって教えたらいいと思う?」

う〜〜〜ん。このタイミングで何を伝えるべきか。
 私がこの2か月算数の授業を見てきて一番改善したかったのは、「算数の授業でならったことを、毎日の生活で『使える』ようになってほしい」ということ。そこで、

「これは例えばだけど、私なら"先生ね、お店にアメを買いにいったの。このアメを10個買ったらいくらになるかなあ。"とか子どもたちが解きたくなるような生活に身近な文章題を出してから、どんな方法で計算するか考える。」ことをつたないモンゴル語で提案。でも、先生たち一生懸命わかろうとして聞いてくれています。

「なるほど!!!それは面白い!」
そこからの話し合いは早くて早くて、ほとんど分かりませんでしたが、そのままアメの金額を求める授業になりました^^;
もっと色々な問題場面が考えられるけれど、とりあえず見守ってみることに。
先生たち、


↑こんな風に、パソコンで授業のめあてや学習の流れを書きながら、「アメならいくらくらいか」「どのアメにするか」「どんな言い方をしたらいいか」などなど、ああでもない、こうでもない、と話し合いをしていました。話し合いが終わったのは、夜の10時!!

月曜日から毎日色々な学校に行って、
①授業をみんなでみる→②話し合い(良かったところ、改善点)→③改善→④次の日の授業に生かす

を繰り返して行きました。授業のめあてや流れを書いた紙を配る事が必要だ、と前にの授業研究の時に伝えていたのですが、きちんと全員に配られるようになっていてびっくり。


先生たちは

「1班の子どもを見る先生」「先生の活動を見る先生」
「時間の配分を見る先生」

など、分担して授業を見ています。これもすごい!







 授業の後の、話し合いの様子。
自分の役割の意見を中心に、全員が意見を言っていきます。
 
 先生たち、子どもたちの様子をよく見た上で意見を言っていっていらっしゃいます。するどい意見もばんばんでます。

 私の役割は、「助言・相談役」。副校長先生や、私のカウンターパートである教育担当の先生と同じ役割。緊張するなあ。
 どうしても言いたいこと、をしぼって、知らない単語を調べてメモをして助言。

画面左のように、一枚の紙にたくさん書いてあります。
先生への感謝の言葉と、
他の先生たちも反省点として言っていたことなどについて、具体的な改善点を伝えます。私が言った事を3つ紹介。

「子どもはいろいろな意見をだしたが、紙に書いた字が小さすぎて見えず、友だちの考えを理解しないで終わった」→
一つの紙に、一つの方法を書く。

②紙に書いた考えの説明は、先生じゃなくて子どもがする。

③黒板に問題を書く。計算の仕方も分かりやすく書く。




じゃあ、明日はどうしたらいいか。ここからまた、全員での話し合いが夜まで続く事になります。


さて、それ以降どうなっていったでしょうか?

①について
次の授業では、「一つの紙に一つの方法を書こう!」という説明が加わりました。
でも、まだ小さい。するとその日の話し合いである先生が「マスメを書いたらいいんじゃないの?」と提案。そうしてうすくマスメを書いた紙が配られるようになりました。

②について
次の日からすぐ改善。でも、黒板を向いてしまってよく聞こえませんでした。言葉に詰まってしまう子も。そうです、「子どもたちが自分で自分の考えを説明する」ことは、簡単ではありません。
先生は魔法使いじゃない。授業は魔法じゃない!「自分の考えをみんなに伝える」「みんなで学び合う」ことは毎日の積み重ねで少しずつその力がついて行くのだと思います。(ちゃんと伝わっていたか、ちょっと不安。)ただ、先生の手助けとして、長い棒のようなものやマイクを使うと説明が上手になるよ、と伝えました。


 どこから見つけてきたの?!棒の登場。
 先生たちの凄いところは、「思いつく限りの改善点を出して、さっそく次の日にやってみる」ところ。

説明が上手にできてみんなが分かってくれたとき。モンゴルの子たちも先生も、本当にいい顔!!!

③について

これが、初めの黒板。
うまく言えないので、話し合いの時に黒板に書いて意見を言ったり、ノートに「私ならこう書く!」という例を書いて見せたりしていたところ、









水曜日には、先生たちの話し合いでも黒板を使って行われるようになり。。。







最終日には、黒板がしっかり活用されるようになりました!!!
モンゴルではあまり黒板が重視されていない授業が多いように感じていました。
今回の授業研究で、「どうやって書いたら分かりやすいか」ということについての話し合いが行われるようになったこと、すっごく嬉しかったです。
最終日には「人は外部からの情報を15%は耳から、80%は目から受けているんだって!」とグラフに書いて紹介。黒板は学びのあしあと。これが、今回自分の活動としては一番の成果だったかもしれません。

 今回の授業研究で日々めを見張るくらいいい授業になっていったのは、モンゴルの先生たちの持っている力でした。

 
 先生の活動しているゴビスンベル県は今凄く伸び盛りなのだと思います。

 JICA(ジャイカ)がモンゴルの先生を日本に研修に連れて行ってくれる、という制度があるのですが、この大きな国で13しか行けない せまき門 に、小さいゴビスンベル県から2人も行けることに!!!みんなで大喜びしました。

もちろん若い先生もいるけれど、中には力のある ベテランの先生もいらっしゃいます。
 でも、いろいろな人の意見をしっかり聞いて、取り入れる。この柔軟性に感銘(かんめい)を受けました。
 高い目標と夢をもつこと。


 人の助言を、真剣に聞くこと。
 そして、とにかく、やってみること。
  

初めて訪れた、村の様子。あら、チョイルよりもずっと何もない!!
この村で活動するのも、楽しみだなあ。








2012年11月5日月曜日

モンゴル通信、第5号!!

今回は、わが町、チョイルのおススメスポットと、暮らしの様子についてお知らせします。

ガイドブックにも載っていない、インターネットで調べてもあまり出てこない、観光地でもない本当に小さな町ですが、そこに暮らす人々はとても人情にあふれていて温かいです。是非読んでみてくださいね^^


2012年11月4日日曜日

初雪、初授業。

サェンバイノー!!(こんにちは!)
10月15日、ついに初雪が降りました!

そして同じ日に、1年生のクラスで授業をしました!!
自分が中心で授業をするのは、これが初めて!!

どういう過程を踏んで授業にのぞんだかというと。。。

①どの授業をやるのか、先生達に決めてもらう。(進み方によって。)
②どういう「めあて」で、どういう授業をするのか考えてきて、紙に書く。
③書いた紙(指導案、と言います。)を見ながら、授業をする学年の先生と授業について話し合う。
④話し合いで変わった事を、指導案に書き直す。
⑤授業をする。先生達が見に来る。
⑥他のクラスで、他のクラスの先生がやってみる。


10日(水)に「どの授業をやるか」が決まり、11日から打ち合わせ開始。
15日から19日まで、毎日2コマの授業(1年生から5年生まで)

初日の授業はどうだったかって??


それはそれは。。。落ち込みました^^;




子ども達の作品は素晴らしかった!!!

モンゴルの学習内容をもとに、「指から生まれた私の物語」という単元をくんでみました。














指で、色々な点や線を書いています。
















初めての水彩共同絵の具を使って、自由に書いていたら、魚に見えてきたので魚を描いたそうです。水の流れも付け加えたのがすてき!












このように、子ども達の作品は、素晴らしいものが出来上がりました。
授業の計画も良かったと思います。

でも、私の気持ちの準備が十分でありませんでした。

反省点改善点3つ。

先生達が打ち合わせの中で、「用意しておくよ!」といってくださったのですが、
実際は足りずに焦ってしまった。
→無くてもどうにかなるように、自分で準備しておくべきだった。

言葉を十分に覚えていなかった。予想外の事態の時に、言葉が出てこなかった。
→とっさに言葉が出てこないのは仕方がないけれど、子どもの普段の様子から、どういう事が起こりうるか 考えておくべきだった。発問の言葉が出てこないのは努力不足。

予想以上にたくさんの先生が見に来ていたので、焦ってしまった。
→・・・次に生かそう!


落ち込んだ気持ちをなぐさめるために、その日はゆっくりご飯でも作って食べて、寝て。。。


としたいところ。ところが次の日も授業と、4年生の指導案検討が待っている!!これで何もしなかったら、それこそ努力不足だ。

そんなわけにはいかない!!!!!

ということで、初日の落ち込みから、気合いで3時間で立ち直り、朝の4時まで必死で準備!!そして授業。

2年生の授業の様子。3原色から、色々な色を作り出す授業。

先生!色々な色が出来たよ!!と満面の笑みで教えてくれました.

自分だけの風車を手に、外に遊びに行きました。


「寒さに負けず、外で遊ぼう!私のすてきな風車」という学習。4人の先生と私のカウンターパートが授業を見に来てくれましたが、少ない指示の中、子どもたちが自由に発想して楽しそうに描く様子や、それぞれの子どもが、自分が描いた作品に自信を持てたのがなにより嬉しかった。




その後、3、4、5年生と授業をする中で感じた事.

真剣な顔と悔しい顔、そして、やったぞ!という笑顔。

これが見たくて、授業をやっているんだな、と。
真剣な顔をしているとき、子ども達は自分の中にあるあらゆる知識や技能を活用して活動したり、考えたりしています。この時、「学んだ」知識が「自分の知識」になります。
知識を活用したけれど、うまくいかなくて悔しかった時、次の可能性や方法を模索して新たな技能が身につきます。

そして、できた!と笑顔になる時に、自信が着いて行くのだと思います。

自分の知識を活用し、それが自信につながるということ。

そういう姿が見たくて、先生たちは頑張っているのかもしれません。
子どもたちの 「もっともっと伸びたい!」

という気持ちは、どこの国でも 同じなのかもしれませんね。